ウェッブ宇宙望遠鏡が見つけた初期宇宙の銀河 ビッグバン2.8億年後の姿

ウェッブ宇宙望遠鏡が見つけた初期宇宙の銀河 ビッグバン2.8億年後の姿 宇宙ニュース
Image: NASA, ESA, CSA, STScI, Rohan Naidu (MIT); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI) ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した、銀河MoM-z14がある領域の画像です

宇宙が生まれたのは、およそ138億年前のことです。では、最初の銀河はいつ、どのように生まれたのでしょうか。

この疑問に答えるために打ち上げられたのが、NASAなどのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡です。ウェッブは、宇宙が生まれてからわずか2億8000万年後の銀河をとらえ、最も遠い銀河の記録を塗り替え続けています。この記事では、ウェッブが見つけた初期宇宙の銀河について、分かっていることと今も残る謎を紹介します。

概要

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、NASA、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)、カナダ宇宙庁(CSA)が共同で運用する宇宙望遠鏡です。2021年12月25日に南米の仏領ギアナから打ち上げられ、2022年7月から本格的な科学観測の画像が公開されています。

ウェッブは、打ち上げから数年のうちに、それまでハッブル宇宙望遠鏡が持っていた最遠の銀河の記録を次々と更新しました。2026年1月には、ビッグバンから約2億8000万年後の銀河「MoM-z14」が、確認された中で最も遠い銀河として発表されています。

確かな事実として分かっていること

ハッブルより大きな鏡で赤外線を見る

ウェッブの主鏡は、18枚の六角形の鏡を組み合わせたもので、直径は6.5メートルあります。ハッブル宇宙望遠鏡の主鏡は直径2.4メートルなので、ずっと多くの光を集めることができます。

ウェッブは、地球から約150万キロメートル離れた「L2」と呼ばれる場所で観測しています。太陽や地球、月からの熱を大きな日よけでさえぎり、主に赤外線で宇宙を観測するのが大きな特徴です。

遠い銀河ほど赤外線で見える理由

宇宙は今も膨らみ続けていて、遠くの銀河から届く光は、長い旅の間に引き伸ばされて波長が長くなります。これを「赤方偏移」といい、遠い銀河ほど光は大きく引き伸ばされます。

生まれたばかりのころの銀河が出した光は、地球に届くころには赤外線になっています。そのため、赤外線を得意とするウェッブは、宇宙のはじまりに近い銀河を探すのにぴったりの望遠鏡なのです。

ハッブルの記録を大きく塗り替えた

2016年、ハッブル宇宙望遠鏡の観測チームは、ビッグバンから約4億年後の銀河「GN-z11」までの距離を測り、最も遠い銀河の記録を打ち立てました。当時のNASAの発表では、この記録はウェッブが打ち上げられるまで破られないだろうと考えられていました。

そして2024年5月、ウェッブの観測チームは、ビッグバンから約2億9000万年後の銀河「JADES-GS-z14-0」を発表しました。この銀河は差し渡しが1600光年以上もあり、明るさも予想を大きく上回るものでした。

初期の銀河に酸素やちりがあった

JADES-GS-z14-0からは、酸素があることを示す手がかりや、ちりの存在も見つかりました。酸素のような元素は、星が生まれて一生を終えることをくり返すうちに作られるものです。

宇宙が生まれてから3億年にも満たない時期に、すでに何世代もの重い星が生まれていた可能性があることを示しています。研究チームは、この銀河が思っていたよりずっと成熟していたことに驚いたと説明しています。

最新の記録は「MoM-z14」

2026年1月、NASAなどは、ビッグバンから約2億8000万年後の銀河「MoM-z14」が、これまでに確認された中で最も遠い銀河だと発表しました。この銀河の光は、約135億年かけて地球に届いたことになります。

MoM-z14は、マサチューセッツ工科大学(MIT)などの研究チームが見つけ、ウェッブの分光観測で距離が確かめられました。この銀河からは、窒素が多く含まれていることを示す手がかりも見つかっています。

予想よりずっと多い明るい銀河

ウェッブの観測で特に驚かれているのが、初期の宇宙に明るい銀河がたくさんあることです。研究チームによると、こうした明るい銀河は、ウェッブの打ち上げ前に理論で予想されていた数の100倍ほども見つかっているといいます。

MoM-z14のまわりでは、初期の宇宙を満たしていた水素の霧が晴れ始めている様子も見えています。宇宙の霧がいつ、どのように晴れたのかを調べる手がかりとしても、注目されています。

語られている主な説

非常に重い星が窒素を作ったという説

ビッグバンから約2億8000万年後という早い時期では、ふつうの星が何世代もかけて窒素をためていく時間は足りないはずです。そこで研究チームは、初期の宇宙の密集した環境で、非常に重い星が生まれ、今の宇宙で見られるどの星よりも多くの窒素を作ったのではないかという説を挙げています。

これまでの理論を見直す必要があるという見方

初期の銀河は、予想よりも明るく、密度が高く、多くの元素を含んでいたと報告されています。研究者の間では、初期の宇宙について、理論と観測の間の食い違いが広がっていると指摘されていて、銀河の生まれ方についての考え方を見直す必要があるという声も出ています。

今も残る謎

初期の銀河が、なぜこれほど明るいのかは、まだはっきり説明できていません。窒素がどのように作られたのかも、決着はついていません。

NASAは今後、計画中のナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡で、同じように明るい初期の銀河を数千個の規模で見つけられると期待しています。最も遠い銀河の記録も、これから先さらに更新されていくと考えられています。

まとめ

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、赤外線を使って、宇宙が生まれて間もないころの銀河を次々と見つけています。2026年1月には、ビッグバンから約2億8000万年後の銀河MoM-z14が、最も遠い銀河として発表されました。

見つかった初期の銀河は、予想より明るく、酸素や窒素などの元素も含んでいました。宇宙のはじまりに銀河がどう生まれたのかという謎は、ウェッブのおかげで、より深く、面白いものになっています。

僕のひとりごと

僕がウェッブの話で一番わくわくするのは、135億年も前の光を、今この瞬間に見ているということです。しかも、見つかった銀河が予想よりずっと明るかったというのは、宇宙がまだまだ人間の想像を超えていることを教えてくれている気がします。

記録がこれからも塗り替えられていくと考えられているので、次はどんな銀河が見つかるのか、ニュースを楽しみに待ちたいと思います。

アイキャッチ画像:Image: NASA, ESA, CSA, STScI, Rohan Naidu (MIT); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI) ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した、銀河MoM-z14がある領域の画像です

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