タビーの星とは?「宇宙人の巨大構造物」まで疑われた謎の減光

タビーの星とは?「宇宙人の巨大構造物」まで疑われた謎の減光 未解決ミステリー
NASA/JPL-Caltech タビーの星のまわりを回る、ちりの輪を描いた想像図です

夜空の星の明るさは、ふつうはほとんど変わりません。ところが、はくちょう座の方向にあるある恒星は、明るさが何の前ぶれもなく、最大で2割ほども落ちることがあります。

この星は「タビーの星」と呼ばれ、一時は宇宙人が作った巨大な構造物が星の光をさえぎっているのではないかとまで話題になりました。この記事では、確かな事実と語られている説を分けて整理します。

概要

タビーの星は、正式にはKIC 8462852という番号で呼ばれる恒星です。はくちょう座の方向、地球から1000光年以上離れた場所にあり、太陽より少し大きく、表面の温度も高い星です。

この星の奇妙な減光は、NASAのケプラー宇宙望遠鏡の観測データから見つかりました。2015年に減光を詳しく報告する論文が発表され、その後、世界中の天文学者がこの星に注目するようになりました。

確かな事実として分かっていること

市民が見つけた奇妙な明るさの変化

ケプラー宇宙望遠鏡は、恒星の前を惑星が横切るときのわずかな減光をとらえて、太陽系の外の惑星を探すための望遠鏡でした。そのデータを一般の市民が調べる「プラネット・ハンターズ」というプロジェクトの参加者が、この星の明るさの変化が奇妙だと気づきました。

この発見をもとに、天文学者のタベサ・ボヤジャンらが論文をまとめました。「タビーの星」という呼び名は、ボヤジャンの名前にちなんだものです。

惑星では説明できない減光

惑星が恒星の前を横切るときの減光は、ずっと小さいのがふつうです。ところがタビーの星では、明るさが最大で2割ほども落ち、資料によっては22%に達したとされています。

しかも減光は不規則で、数日から数十日続くものもありました。特に2011年と2013年には、それまで見たことのない形の大きな減光が記録されています。

長い時間をかけて暗くなっている

ケプラーの4年間の観測データを詳しく調べ直した研究では、この星が少しずつ暗くなっていたことも分かりました。数年の間に、ゆっくりした減光と、比較的急な減光の両方が見られたといいます。

さらに、1890年から1989年までの古い写真乾板を調べ、この100年ほどの間に2割ほど暗くなったとする研究も発表されました。ただし、この研究には、古い乾板のデータの扱い方に問題があるという反論も出ています。

宇宙人の電波は見つからなかった

2015年の秋、この星の減光は、宇宙人の巨大な構造物で説明できるのではないかという話題が広まりました。これを受けて、地球外知的生命を探す研究機関であるSETI研究所が、アレン・テレスコープ・アレイという電波望遠鏡群で2週間以上この星を観測しました。

しかし、人工的な電波と考えられる信号は見つかりませんでした。2016年には、別の研究プロジェクトも、アメリカの大型電波望遠鏡でこの星の観測を始めたと報じられています。

市民の寄付で行われた観測

ボヤジャンらは、この星を継続して観測するための費用を、インターネットのクラウドファンディングで集めました。1700人以上から10万ドル以上の寄付が集まり、2016年3月から2017年12月まで、天文台の望遠鏡のネットワークを使った観測が行われました。

2017年5月以降、この観測で4回の減光がとらえられました。200人を超える研究者が関わったこの研究の結果は、2018年に学術誌で発表されています。

色によって減光の強さが違った

観測の結果、減光の強さは光の色(波長)によって違うことが分かりました。惑星や巨大な構造物のような、光を通さない物体が前を横切ったのなら、どの色の光も同じようにさえぎられるはずです。

色によって減光の強さが違うのは、細かいちりが光をさえぎったときに見られる特徴です。NASAの宇宙望遠鏡を使った別の研究でも、紫外線のほうが赤外線より強く減光していて、長い期間の減光はちりの雲によるものと考えられるという結果が出ました。

語られている主な説

宇宙人の巨大構造物だという説

最も話題になったのは、高度な文明が星のエネルギーを集めるために、星のまわりに巨大な構造物を作っているという説でした。こうした構造物は「ダイソン球」などと呼ばれ、SFの世界でもおなじみのアイデアです。

ペンシルベニア州立大学の天文学者ジェイソン・ライトらも、この可能性を検討した研究者の一人でした。しかし、色によって減光の強さが違うという観測結果から、現在ではこの説はほぼ否定されています。

彗星の群れだという説

2015年の最初の論文では、壊れた彗星の破片の群れが星の前を横切ったという説が、最も有力な説明として挙げられていました。NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡の観測をもとにした研究でも、細長い軌道を回る彗星の群れで説明できるという考えが示されています。

ちりの雲だという説

現在最も支持されているのは、星のまわりを回る、むらのあるちりの雲が光をさえぎっているという説です。NASAの宇宙望遠鏡を使った研究では、このちりの雲がおよそ700日かけて星のまわりを回っている可能性が示されています。

今も残る謎

減光の原因がちりである可能性が高いことは、多くの研究者の間でほぼ一致しています。しかし、そのちりがどこから来たのかは、まだ分かっていません。

彗星が壊れてできたのか、それとも別の仕組みがあるのかは、今も議論が続いています。長い期間にわたる減光についても、ちりの雲で説明できる可能性が示されてはいるものの、まだ決着はついていません。

まとめ

タビーの星は、明るさが不規則に最大2割ほども落ちる、とても珍しい恒星です。宇宙人の巨大構造物ではないかと話題になりましたが、その後の観測で、減光は細かいちりによるものである可能性が高いことが分かってきました。

それでも、そのちりの正体や、どこから来たのかは、まだ解き明かされていません。市民の発見と寄付が研究を支えたこの星は、今も天文学者たちを悩ませ続けています。

僕のひとりごと

僕がこの星の話で好きなのは、最初に異変に気づいたのが一般の市民だったことです。さらに観測の費用まで市民の寄付で集まったと知って、宇宙の謎はみんなで追いかけられるのだと感じました。

宇宙人の巨大構造物ではなかったのは少し残念ですが、ちりの正体という新しい謎が残っているのも面白いところです。答えが分かる日を楽しみに待ちたいと思います。

アイキャッチ画像:NASA/JPL-Caltech タビーの星のまわりを回る、ちりの輪を描いた想像図です

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