ボイジャー1号・2号の今 打ち上げから49年、星間空間を旅する探査機

ボイジャー1号・2号の今 打ち上げから49年、星間空間を旅する探査機 宇宙ニュース
NASA/JPL-Caltech ボイジャー1号が1990年に撮影した地球の写真「ペイル・ブルー・ドット」を2020年に処理し直したものです

今から49年前の1977年、NASAは2機の探査機を宇宙へ送り出しました。ボイジャー1号と2号です。

2機は木星や土星などの惑星を訪れたあと、太陽系の外に広がる星間空間へと進みました。そして2026年の今も、電力不足と戦いながら地球にデータを送り続けています。この記事では、ボイジャーの歩みと現在の状況を紹介します。

概要

ボイジャー2号は1977年8月20日に、1号は同じ年の9月5日に打ち上げられました。番号とは逆に、2号のほうが2週間あまり先に出発しています。

ボイジャー1号は2012年に、2号は2018年に、太陽の影響が及ぶ範囲を抜けて星間空間に入りました。ボイジャー1号は、地球から250億キロ以上離れた場所を飛んでいて、人類が作ったものの中で最も遠くにある探査機です。

確かな事実として分かっていること

4つの巨大惑星を訪れた

ボイジャー1号は1979年に木星、1980年に土星のそばを通過しました。ボイジャー2号は1979年に木星、1981年に土星、1986年に天王星、1989年に海王星を訪れています。

天王星と海王星を訪れた探査機は、今もボイジャー2号だけです。木星の衛星イオでは、地球以外の天体で初めて活動中の火山が見つかったとされています。

NASAによると、ボイジャーはもともと2つの惑星を5年ほどかけて調べる計画でした。それが途中で計画を広げ、4つの巨大惑星すべてを訪れる大旅行になったのです。

地球を写した「ペイル・ブルー・ドット」

1990年2月14日、ボイジャー1号は太陽から約60億キロ離れた場所で、振り返るように地球を撮影しました。写真の中の地球は、光の筋の中に浮かぶ小さな点にすぎません。

この写真は「ペイル・ブルー・ドット(青白い点)」と呼ばれています。天文学者のカール・セーガンが同じ名前の本を書いたこともあり、宇宙の中の地球の小ささを感じさせる一枚として知られています。

地球からのメッセージ「ゴールデンレコード」

2機のボイジャーには、同じ内容の「ゴールデンレコード」が取り付けられています。金メッキをした銅のレコードで、地球の音や画像、音楽が記録されています。

レコードには、55の言語によるあいさつも入っています。内容は、カール・セーガンが率いる委員会がNASAのために選びました。いつか地球外の誰かが見つけることを想定した、人類からのメッセージです。

電力は毎年少しずつ減っている

ボイジャーは、プルトニウムが出す熱を電気に変える原子力電池で動いています。この電力は毎年約4ワットずつ減っていくため、NASAは使う機器を少しずつ減らしてきました。

2機には、もともとそれぞれ10個の科学観測装置が積まれていました。ボイジャー1号では、2025年2月に宇宙線を観測する装置を、2026年4月17日には低いエネルギーの荷電粒子を観測する装置を止めています。

2025年に装置を止めると発表したとき、NASAは、ここで止めなければあと数か月で運用を終える判断を迫られるかもしれないと説明していました。今のボイジャー1号では、地球から送った指令が届くまでに約23時間かかり、装置を1つ止めるのにも慎重な準備が必要です。

その結果、ボイジャー1号で動いている科学観測装置は、磁場を測る装置とプラズマ波を観測する装置の2つだけになりました。ボイジャー2号では、この2つに宇宙線の観測装置を加えた3つが動いています。

省電力作戦「ビッグバン」

NASAは2026年、「ビッグバン」と名付けた省電力の作業に取り組みました。探査機が凍えないように保ちながら、電気を多く使う機器をいっせいに止め、より消費電力の少ない機器に切り替えるというものです。

ボイジャー2号では、5月と6月に試験をしたうえで、7月に作業が行われたと報じられています。報道によると、ヒーター2台と、熱を出すためだけに動かしていた古いテープレコーダーを止め、代わりに消費電力の少ない機器に切り替えました。これで、約10ワット分の電力を節約できたとされています。

NASAによると、この作業がなければ2026年の終わりまでにもう1つ観測装置を止める必要がありましたが、残る3つの装置を少なくともあと1年動かせる見通しになりました。

これからの節目

ボイジャー1号は、2026年11月18日に地球から「1光日」の距離に達する見込みです。1光日とは、光が24時間かけて進む距離のことで、およそ259億キロメートルにあたります。

NASAによると、日本時間では11月18日の午後7時16分ごろです。人類が作ったものがこの距離に達するのは初めてで、地球から送った指令が届くまでに丸1日、返事が戻るまでには約2日かかることになります。

ボイジャー2号も、2035年11月ごろに同じ1光日の距離に達する見込みとされています。

今も残る課題

ボイジャーの運用がいつまで続けられるのかは、はっきりとは分かっていません。2025年の時点では、少なくとも1つの観測装置を2030年代まで動かせる可能性があると見込まれていました。

2026年8月の時点で、NASAはボイジャー1号でも同じ省電力作業を進めていると発表していました。打ち上げから半世紀近くたった機体だけに、思わぬトラブルが起きる可能性もあり、今後の運用は一歩ずつ慎重に進められています。

まとめ

ボイジャー1号と2号は、1977年に打ち上げられ、4つの巨大惑星を訪れたあと、星間空間へと進みました。電力が減り続ける中、観測装置を少しずつ止めながら、今もデータを送り続けています。

2026年11月には、ボイジャー1号が地球から1光日という前人未到の距離に達する見込みです。人類で最も遠くを旅する探査機の挑戦は、まだ続いています。

僕のひとりごと

僕がボイジャーの話でいちばん胸が熱くなるのは、49年前に打ち上げられた探査機が、今も地球と連絡を取り合っていることです。止める装置を一つずつ選びながら運用を続けるチームの苦労を想像すると、応援したくなります。

11月18日の夜7時すぎには、夜空を見上げて、1光日先を飛ぶボイジャー1号のことを思い浮かべてみようと思っています。

アイキャッチ画像:NASA/JPL-Caltech ボイジャー1号が1990年に撮影した地球の写真「ペイル・ブルー・ドット」を2020年に処理し直したものです

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