フェルミのパラドックスとは?「宇宙人はどこにいるのか」という難問

フェルミのパラドックスとは?「宇宙人はどこにいるのか」という難問 未解決ミステリー
Department of Energy, Office of Public Affairs(パブリックドメイン、Wikimedia Commons経由) 1943年から1949年ごろに撮影された物理学者エンリコ・フェルミの写真です

夜空には数えきれないほどの星が輝いていて、惑星を持つ星も決して珍しくないことが分かってきました。それなら、どこかに宇宙人がいて、とっくに地球に来ていてもおかしくないはずです。

ところが、私たちはいまだに宇宙人に出会ったことがありません。この矛盾は「フェルミのパラドックス」と呼ばれ、今も多くの科学者を悩ませています。この記事では、パラドックスの成り立ちと、語られている主な答えを整理します。

概要

フェルミのパラドックスとは、宇宙には地球外の文明がたくさんあってもおかしくないと考えられるのに、その文明と接触した証拠がまったくない、という矛盾のことです。名前は、ノーベル物理学賞を受賞した物理学者エンリコ・フェルミにちなんでいます。

1950年、フェルミは同僚たちとの昼食の席で、宇宙人はいったいどこにいるのかという疑問を投げかけたとされています。この素朴な問いは、70年以上たった今も、はっきりとは答えが出ていません。

確かな事実として分かっていること

昼食の席での一言

1950年、アメリカ・ニューメキシコ州のロスアラモス研究所で、フェルミは3人の同僚の物理学者と昼食に向かっていました。道すがら、一行は当時話題になっていた空飛ぶ円盤の報告や、それを題材にした雑誌の漫画について話していたといいます。

昼食の席で話題が別のことに移ったころ、フェルミは突然、みんなはどこにいるのだろうと口にしました。同僚の一人は、唐突な問いだったにもかかわらず、その場の全員がすぐに地球外の生命のことだと分かったと、のちに振り返っています。

「パラドックス」になったのは後のこと

フェルミ自身は、この疑問について論文を書いたわけではありませんでした。宇宙人がいるなら、とっくに銀河に広がって地球にも来ているはずだという議論を詳しく組み立てたのは、1975年の天文学者の論文だったとされています。

「フェルミのパラドックス」という呼び名が使われ始めたのも、その2年後のことです。フェルミ本人は、宇宙人の存在を否定していたのではなく、星と星の間があまりにも遠いことなどが理由ではないかと考えていたと伝えられています。

文明の数を見積もるドレイク方程式

1961年11月、アメリカのグリーンバンク天文台で、地球外の知的生命の探査について話し合う小さな会議が開かれました。このとき天文学者のドレイクが、議論の手がかりとして示したのが「ドレイク方程式」です。

この式は、星が生まれるペースや、惑星を持つ星の割合、生命が生まれる割合、文明が電波などを出し続ける期間などをかけ合わせて、天の川銀河で交信できる文明の数を見積もるものです。ドレイクは前の年の1960年に、電波望遠鏡で近くの星からの信号を探す、初めての本格的な観測も行っていました。

見つかった惑星は6000個を超えた

フェルミの時代には、太陽系の外の惑星は一つも見つかっていませんでした。太陽に似た星を回る惑星が初めて見つかったのは、1995年のことです。

NASAによると、確認された太陽系外惑星の数は、2025年9月に6000個に達しました。さらに8000個を超える候補が確認を待っていて、惑星はありふれた存在だということが分かってきました。

それでも見つからない地球外文明

1960年から、電波望遠鏡などを使って地球外文明からの信号を探す研究が続けられてきました。しかし、地球外文明からのものだと確かめられた信号は、これまでのところ一つも見つかっていません。

惑星はたくさんあるのに、文明の気配はない。この食い違いが、フェルミのパラドックスを今も大きな謎にしているのです。

語られている主な説

どこかに大きな壁があるという説

1990年代にアメリカの経済学者が唱えたのが、「グレート・フィルター」という考え方です。生命が生まれて星々に広がる文明になるまでには多くの段階があり、そのどこかに、ほとんど乗り越えられない壁があるというものです。

その壁が、生命の誕生や、単純な生き物から複雑な生き物への進化のように過去にあるなら、人類は幸運にも壁を越えたことになります。一方で、壁がこれから先にあるなら、多くの文明は戦争や技術の暴走などで滅びてしまうのかもしれません。

わざと接触しないという「動物園仮説」

1973年に電波天文学者が学術誌で発表したのが、「動物園仮説」です。進んだ文明は地球の存在を知っているものの、自然保護区の動物を見守るように、わざと接触を避けているという考えです。

ただし、この説は確かめようがないうえ、銀河中の文明がそろって同じ方針を守り続けるのは難しいのではないか、という批判もあります。

遠すぎて届かないという説

星と星の間はあまりにも遠く、宇宙を旅したり通信したりするのは非常に難しいため、文明があっても出会えないという考えもあります。フェルミ本人も、こうした理由を考えていたと伝えられています。

今も残る謎

フェルミのパラドックスには、今のところ決定的な答えはありません。ドレイク方程式の中にも、文明がどれくらいの期間続くのかのように、今の科学ではまったく見積もれない項目が含まれています。

それでも、太陽系外惑星の発見が進み、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などで惑星の大気を調べる研究も始まっています。いつか生命の手がかりが見つかれば、このパラドックスにも新しい光が当たるかもしれません。

まとめ

フェルミのパラドックスは、宇宙に文明がたくさんあってもおかしくないのに、その気配がまったくないという矛盾です。1950年のフェルミの素朴な問いから始まり、1975年ごろから本格的に議論されるようになりました。

グレート・フィルター、動物園仮説、距離の壁など、さまざまな答えが考えられていますが、決着はついていません。惑星探査が進む今、この問いはますます身近なものになっています。

僕のひとりごと

僕がこの話で面白いと思うのは、世界的な物理学者の昼食の席での何気ない一言が、70年以上も議論され続けていることです。惑星が6000個以上も見つかったと知ると、宇宙人はどこにいるのだろうと、ますます不思議に思えてきます。

グレート・フィルターが過去にあるのか未来にあるのかを考えると、少しこわくもなりますが、答えが分かる日が来るのを楽しみにしています。

アイキャッチ画像:Department of Energy, Office of Public Affairs(パブリックドメイン、Wikimedia Commons経由) 1943年から1949年ごろに撮影された物理学者エンリコ・フェルミの写真です

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