ベルギーUFOウェーブとは?三角形の物体とF-16のレーダーの謎

ベルギーUFOウェーブとは?三角形の物体とF-16のレーダーの謎 UFO・UAP
Rob Schleiffert(CC BY-SA 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0/ 、Wikimedia Commons経由) 1983年にベルギーで撮影された、ベルギー空軍のF-16Aです。事件の機体ではなく、参考の写真です

1989年の終わりから1990年にかけて、ヨーロッパの国ベルギーで、夜空に浮かぶ三角形の物体を見たという報告が相次ぎました。目撃した人の中には、パトロール中の憲兵隊の隊員もいました。

ついには空軍の戦闘機F-16が緊急発進し、国じゅうを巻きこむ騒ぎになります。この記事では、「ベルギーUFOウェーブ」と呼ばれるこの出来事について、確かな事実と語られている説を分けて整理します。

概要

ベルギーUFOウェーブは、1989年11月29日の夜、ベルギー東部のオイペン周辺で始まった、UFOの目撃の波です。その後も目撃は続き、ベルギーの各地で数千人が何かを見たと報告したと伝えられています。

目撃された物体の多くは三角形で、角に明るいライトがあり、中央に赤っぽいライトがついていたとされます。音をほとんど立てず、ゆっくり飛んだり、空中に止まったりしたという証言が多いのが特徴です。

確かな事実として分かっていること

オイペンの憲兵隊が見た物体

最初の大きな目撃は、1989年11月29日の夜でした。ドイツとの国境に近いオイペンの周辺で、パトロール中の憲兵隊の隊員たちが、明るいライトのついた三角形の大きな物体を目撃したのです。

この夜は、別の場所にいた憲兵隊のパトロールや、多くの住民からも目撃の報告が寄せられました。その数は、この夜だけで100件を超えたと伝えられています。ただし数字は資料によって違い、翌日以降も含めると200人近くが報告したとする報道もあります。

民間の研究団体と軍が協力

目撃の報告を集めて調べたのが、ベルギーの民間のUFO研究団体「SOBEPS」です。SOBEPSは各地で多くの証言を集め、現地での調査を行いました。

珍しかったのは、ベルギーの軍もこの問題に乗り出し、民間の団体と協力したことです。軍が動いた理由について、当時の国防大臣は、国民の間に集団ヒステリーのような空気が広がっていて、人々を安心させる必要があったという趣旨の説明をしています。大臣はテレビでも、何かが起きているが脅威ではないという趣旨の話をしたと伝えられています。

F-16が緊急発進した夜

1990年3月には、再び目撃が増えました。3月30日の夜、軍の地上のレーダーが正体不明の目標をとらえ、空軍は2機のF-16を緊急発進させました。

パイロットたちはレーダーで目標を追い、迎撃を試みましたが、何度も見失いました。レーダーの上では、目標が数秒のうちに高さや速さを大きく変えたように見えたといいます。一方で、パイロットが物体を自分の目で見ることはありませんでした。

その後、空軍の大佐が記者会見を開き、レーダーの記録について説明しました。空軍は正体を説明できない現象があったことを認めましたが、地球の外から来たものだという証拠はないという立場でした。

有名な写真は偽物だった

1990年4月4日には、ベルギー東部のリエージュ州の町で、三角形の物体を写した写真が撮影されました。この写真は、UFOウェーブを代表する一枚として、世界中に知られるようになります。

ところが2011年7月、撮影した男性がベルギーのテレビ局RTL-TVIで、発泡スチロールで作った模型を吊るして撮った偽物だったと明かしました。男性は、写真が働いていた工場の外にまで広まるとは思っていなかったという趣旨の話をしています。

語られている主な説

ヘリコプターや飛行船の見間違い

身近な説明として、ヘリコプターや飛行船、飛行機などを見間違えたという説があります。ただしベルギーの公共放送RTBFは、ヘリコプターは音がとても大きく、飛行船は当時の強い風の中では安定して飛べないことから、目撃をこれで説明するのは難しいとしています。

アメリカの秘密の軍用機だという説

アメリカのステルス機のような、秘密の軍用機だったのではないかという説も語られました。アメリカの機体ではないかという疑問は、アメリカ大使館にも公式に問い合わせられたと報じられています。

ただ、当時この騒ぎを取材したベルギーのテレビ記者は、もしそれほどの性能を持つ機体があったなら、37年たった今では知られているはずだという趣旨の話をしています。

レーダーの反応は見かけのものだったという説

F-16のレーダーの反応については、実際に何かがいたのではなく、大気の状態やレーダーの働き方によって、見かけの反応が映ったのではないかという見方もあります。一方のF-16のレーダーが、実はもう1機のF-16をとらえていたという指摘もあったと伝えられています。

レーダーに実際にはない反応が映る現象は、1952年にアメリカの首都ワシントンで起きたUFO事件でも、大きな問題になりました。

詳しくはこちら:ワシントンUFO乱舞事件とは?首都の空にレーダーが謎の影をとらえた夏

報道が目撃を増やしたという説

テレビや新聞が大きく報じたことで、人々が夜空の光をUFOだと思いこみやすくなり、目撃の報告が増えたという見方もあります。

正体不明の飛行物体だという説

一方で、SOBEPSの研究者たちは、目撃の多くは知られている飛行機などでは説明できない、正体不明の現象だと考えました。ただし、地球の外から来た乗り物だとまで結論づけたわけではありません。

今も残る謎

写真の一枚は偽物だと分かりましたが、それでベルギーUFOウェーブのすべてが説明されたわけではありません。憲兵隊の隊員や多くの住民が見たという三角形の物体の正体は、今もはっきりしていません。

ベルギーの公共放送RTBFも、30年以上たっても、全体を満足に説明できる答えは見つかっていないと伝えています。2026年5月1日には、ベルギーのテレビ局RTL-TVIが、この出来事を振り返るドキュメンタリー番組を放送しました。

まとめ

ベルギーUFOウェーブは、1989年11月29日にオイペン周辺で始まった、三角形の物体の目撃の波です。1990年3月30日の夜には空軍のF-16が緊急発進し、レーダーが目標をとらえましたが、パイロットは物体を目で見ていません。

代表的な写真は2011年に偽物だと分かり、レーダーの反応にも見かけのものだったという見方があります。それでも、多くの目撃のすべてが説明されたわけではなく、謎は今も残っています。

僕のひとりごと

僕がこの出来事で一番おもしろいと思ったのは、軍が民間のUFO研究団体と協力して調べたところです。国の軍がそこまで本気で向き合ったUFO騒ぎは、なかなかないのではないでしょうか。

一方で、世界中に広まった写真が、発泡スチロールの模型だったという話には思わず笑ってしまいました。一枚の写真が20年以上もだれにも見破られなかったことを思うと、写真だけでUFOの正体を決めるのは難しいのだと感じます。

アイキャッチ画像:Rob Schleiffert(CC BY-SA 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0/ 、Wikimedia Commons経由) 1983年にベルギーで撮影された、ベルギー空軍のF-16Aです。事件の機体ではなく、参考の写真です

この記事は公開時点の情報をもとにまとめています。研究や調査は日々進んでいるため、新しい発見で内容が変わることがあります。誤りに気づいた方は、コメントで教えていただけるとうれしいです。

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